「AX アックス」伊坂幸太郎
お得意の殺し屋たちの物語。
「グラスホッパー」ほどの疾走感は無く、小品といった作品なのだけど、軽いコメディタッチで読みやすく、ラストも切なくて良い。
主人公の最後が判っていながら、回想を挟むのは悲しくも有り、それでも兜は幸せだったのかな、と思わせる。
奥さんが彼の死後、精神的に落ち込んでしまったのが、逆に恐妻家の彼が救われた気がしてしまった。
もっと彼らの話を読んでいたい、とは思わないのだけど、結構良い余韻が残る佳作だった。
「キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャー」
ネタバレしています。ご注意を。
前作の「キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アヴェンジャー」を観た時は、あまりの退屈な作品ぶりにがっかりした。
ヒーロー物の一作目というのは、大抵の場合、敵もまだまだ弱くて、大したことの無いのしか出てこないし、誕生の過程を描く為にものすごく盛り上がる展開にはなりにくい。
でもそれを差し引いても、詰まらなかった。
唯一良かったな、と思ったシーンは、キャップ(キャプテン・アメリカはこういう呼ばれ方をする)が敵の戦車の上に乗り、地上の仲間から、束になった手榴弾を投げ上げられ、それをキャッチして上の開口部から中にぶちこみ、離脱するスローモーションの場面。
ここはとても格好良かった!
そして一作目の「アベンジャーズ」を観た時も、「うわ、キャップ弱え~」という感想しか残らなかった。
何たって、空を飛べ、火力も桁違いのアイアンマンや、強力な槌を持つ雷神ソー、パワー魔人のハルクなど、その他の面子と比べると、地上でしか活躍出来ないし、何だか逃げ遅れた人々の避難誘導ばかりしている印象だったのだ(笑)
どうしてこんなのがアベンジャーズに居るんだろう?
何か役にたつの?
それは今作で漸く理解した。
キャップ格好良すぎ・・・・!というか強い!!
もう初っ端での敵船のシーンから、格闘シーンが凄いのだ。
どうやって撮っているんだろう?と気になるほど、迫力が有り、魅せ方が非常に上手い。重量感、スピード、カメラ回しと、前作と全く違う。
これだけ生身(?)で戦えて強ければ、そりゃあアベンジャーズに入れるでしょう。失礼しました。
キャップの強さは映画の中でどんどんとエスカレートし、エレベーターの窓をぶち破ってビルから空中に飛び出し、思いっきり落下して盾を下にして着地(←盾意味ない)
でもちょっと痛がっただけですぐに走り出す(笑)
更にはバイクから空中に飛び上がり、盾をエアホッケーのようにバシバシぶつけて戦闘機を破壊し墜落させ、建物の屋上のへりを掴んでヘリコプターの脚部を掴んで引き寄せて離陸させまいと踏ん張るなど人間離れしたパワーを発揮!
うーん、さすがは強化兵士。
こういう、どんどん描写がエスカレートしていくのは大好きです。
敵役のバッキー(ウィンター・ソルジャー)も、イケメンぶりもさることながら、強さも半端ないです!容赦なし!
なんなのあの腕(笑)
ラストも良いし、今作から、マーベルの中でキャップの存在がどんどん増していきます。
そういう意味でも、これがターニングポイントとなるのかも。
「Baxtli kunlar」 Rayhon
トルコのイスタンブールの日本人宿に宿泊していた際に、たまたま一緒になった旅人から教えて貰った曲。
「今めっちゃはまってるんですよ。是非聞いて下さい!」
聞いてみると、確かに良い! 耳に残る感じ。
ちょっと調べてみると、歌手の Rayhon という女性はウズベキスタンの出身。
タイトルは「幸せな日々」という意味らしい。
サビの中で、アッサラームアレイコム、と何度も繰り返すのだが、これは、こんにちは、というくらいの意味。
つまり、幸せな日々よこんにちは、こんにちは・・・と歌っているのだそう。
PVを観てみると、かなりの美人さん。
途中でウズベキスタンの人たちなのか?
街で色々と会話したり、言い合ったりするようなシーンがある。
何て言っているのかは判らないけれど、多分幸せじゃない日々を描写しているんだろうなあ(笑)なんて勝手に思った。
なかなかウズベキスタン・ポップスを聴く事なんてないだろうし、ちょっと得した気分になった。
多分、一生聴く事の無い、でも自分にとってかなりハマる音源なんて、沢山あるんだろうなあ。
「須賀敦子全集」 須賀敦子
須賀敦子さんは、私が一番文体が好きな作家さんです。
とにかく、書かれる文章が静謐で、美しい。
淡々とした、静かな視線と共に、過度に感情を込める事もない語り口。
それでいて、言及する人や物事に対する優しさを確かに感じます。
こんな風な穏やかでやさしい視点をもった人になりたい(笑)
因みに全集は河出文庫から全8巻で出版されています。
ですが5~8巻辺りは日記であったり、イタリア文学論であったりと、少し趣が違うので、始めは1~4巻から読んでみると良いかと思います。
まずは1巻に収録されている、「ミラノ 霧の風景」を一読されると、この作家の雰囲気が判ると思います。
本当に、朗読したくなるくらい、綺麗な文章ですよ。
「おんなのことば」 茨木のり子
以前何年間か書店で働いていた時期があって、たまにお客さんに、お勧めの本はありませんか、と尋ねられる事があった。
滅多に無い事だったが、書店員としての腕の見せ所でもあり、勧めた本が購入されていくと嬉しい気持ちになった。
ある時、棚の整理をしていると、若い活発そうな男性に、お勧めの詩集は有りますか、と聞かれた。
あまり詩集を買いそうに無いタイプの男性に見えたが、会話をするうちに、入院している友人の為に贈りたいのだと教えてくれた。
あまり詩集には詳しく無かったが、取り敢えず、昔から母が好きだった金子みすゞの詩集を勧めてみた。
自宅にも有った、「わたしと小鳥とすずと」という本で、私自身も気に入って、何度か読んだ事があった。
だが男性の好みには合わなかったようだ。
そこで当時平台に並べていた、茨木のり子の詩集を、これも面白いですよ、と渡してみた。
「自分の感受性くらい」というタイトルの、有名なフレーズで終る詩を読んで貰った。
男性は、
成る程、面白いですね、とちっともそう思っていない表情で感想を言った。
結局、何も買わずに彼が帰った後、
何を勧めれば良かったのかなあ、と思ったのを覚えている。
これで合っているのかどうか判らないけれど、自分の詩の読み方は、気に入ったフレーズがあるかどうかだ。
おんなのことば、という詩も、全部が全部好きな訳じゃなく、いくつかのお気に入りの箇所がある。
「子供たちには
ありったけの物語を話してきかせよう
やがてどんな運命でも
ドッジボールのように受けとめられるように」
(「おんなのことば」茨木のり子)
ここを何で気に入ったのか判らないけれど、何かの時にふっと思い出す。
詩人ってこうして、人のこころにことばを残せていくのだから、凄いなあ。
こっちを彼に勧めれば良かったのかな?
「If that's what it takes」 Bon Jovi
アルバム「These days」の11番目に収録されている曲。
私にとっては、中学生の時に初めて購入した洋楽のアルバムになります。何故Bon Jovi を選んだのかは覚えていません(笑)
でも、その時からずっと好きなアーティストです。
この曲はBon Jovi らしく(自分が思っているだけですが)、壮大に展開していくバラード、といった感じで、聞いているといつも行った事もないグランドキャニオンとかをイメージしてしまいます。
Bon Jovi 好きは結構周りに居たのですが、この曲が好き‼という人には会った事が無いですね…
いまいちマイナーな曲になるのでしょうか。
もっと皆に聴いてもらえれば良いなあ、と思います。
因みに、同じアルバム内でなら、ベタですが「something for the pain」も大好きですし、「damned 」「hearts breaking even」なんかもよく聴きます。
結構アルバムを通して聴けるので、良作だと思います。まだ未聴でしたら是非。